蕁麻疹(じんましん)
もう蕁麻疹の痒みに悩まない。 漢方鍼灸で原因別に対処すれば、 辛い痒みからサヨナラできます。
【概念】 皮膚面より隆起した円形・楕円形・地図状の膨疹で、 突然発生して激しい痒みを伴い、 一定時間後に急速に消退して痕跡を残さない。
ここで、ポイントは隆起した皮膚湿疹のことを、 漢方医学では皮膚風疹=じんましんと定義します。
因みに、 皮膚面に生じる円形・楕円形・不規則の紅色班 で、 表面が隆起しないものを“皮膚紅班”と称し、皮膚風疹と区別します。
要するに、湿疹が隆起するものが皮膚風疹、 隆起しないものが皮膚紅班です 。
そこで皮膚風疹の病因として、
1.風熱 2.風寒 3.血熱 4.血瘀 5.腸胃積熱 6.気血両虚
となります。
1と2は外感病で、外界の気候変動によって、 3~6は内傷病で、身体内部のアンバランスによって引き起こる病です。
それぞれの特徴を挙げると、
1.風熱 紅色あるいは粉紅色の膨疹が融合拡大して急速に全身に発生し、灼熱感があり、温めると増悪し、冷やすと軽減する。 軽度の悪風・頭痛・咽痛・舌質紅・舌苔薄黄・脈浮数などの風熱表証を伴う。
2.風寒 粉白色で大小不動の膨疹が融合拡大し、 露出部に顕著で、冷やすと増悪し温めると軽減する。 悪風感・頭痛・身体痛・舌質淡・舌苔白・脈緊数などの風寒表証を伴う。
説明が専門的なので、 外界の気候変動によるじんましんの簡単な判別法は、 冷やすと軽減 風熱 冷やすと悪化 風寒 とご理解頂ければと思います。
また、2の風寒によるじんましんは、 西洋医学でいう寒冷じんましんと一部重なります。
しかし、寒冷じんましんといっても、 身体が冷えることによって元々存在していた内熱が 冷えに抵抗した結果として現れる、 カゼ症状を伴わないじんましんがあるので、 冷えて起きたからと言って風寒邪が関与しているかどうかは、 更なる鑑別が必要です。
3.血熱 ストレス等で肝気鬱結 化火し、血熱生風となって血絡を傷つけたり、 ある種の薬物を内服したことによって血熱を生じ皮膚を阻滞して発生する。
4.血瘀=血液の滞り 風邪が長期間欝滞して営血を傷害し、血オが経脈を阻滞するために発生する。
5.腸胃積熱 飲食の不節制・魚介類の摂食などで腸胃に積熱したために、 内は疏泄が、外は宣通が不良となり、皮膚のキメの間に熱が積滞して発生する。
6.気血両虚 腸胃虚弱で気血が不足した人が風邪を外感し、風寒邪が皮膚のキメに鬱して透発できないために発生する。
内傷病といっても、4と6は風邪が一部関与しているので、 内側の治療とともに、風邪に対してのアプローチが必要になります。
また漢方医学と西洋医学との一番の相違点は、 西洋医学はどの病因であっても、 抗ヒスタミン剤の服用や軟膏など同様の処置を施すのに対し、 漢方医学は病因によって処置の仕方を変えて対応することです。
このじんましんの処置だけでも、 2つの医学の特徴がはっきり出ていることがお分かりになられるでしょう。
この特徴について分かりやすく例え話を用いて比較しますと、 川下が汚れていたとしたら、 川下に重点を置いて掃除するのが西洋医学 川上に重点を置いて掃除するのが漢方医学 と言えるかと思います。
【症例】 1 S.A.さん 女性 43歳 休職 大阪府東大阪市在住
[初診日] 09年2月23日
[主訴の状態] 09年1月16日 突然左大腿部内側(血海付近)より痒み発症 翌日以降全身に痒みが広ががる。
特に痒みのある部位:両肘、頚部~肩、大腿部内側、下腿(足の陽明胃経)
状態:赤く腫れあがっている(凸型) かき傷はあるが、肌汁は出ていない。
[主訴発症の簡単な経緯] 10年ぶりの海外旅行で不安がある中、 旦那さんが旅行前日(8日)なのに、帰りが遅くイラッとした。 その後下痢、胃痛があったが、翌日の9日体調が戻っていたので、 2泊3日の韓国旅行に出掛けた。 旅行中は楽しめた。毎食キムチを食べた。
到着日に大便が出なかったが、翌日から残便感もなくスッキリ大便が出た。 (大便の形状は覚えていない) 旅行中、あまりの寒さに疲れた。風邪は引いていない。
帰国後、1月16日に湿疹・痒み発症。 翌日、辛口のカレーを食べたことで、更に悪化。 湿疹が全身に広がる。
2月2日、漢方系内科に受診するも、漢方薬の処方をされず、 痒み止め、塗り薬、ステロイド剤を処方され、アレルギー緩和の注射を受けた。 アレルゲンの検査をして、アレルギー反応として反応するものが無かった (白血球にはアレルギーの数値が出ていた)。 塗り薬全て、変化無し。
[主訴の増悪・緩解因子] (増悪因子) ・食後(時間帯関係なし)、(経過中、肉を食べた後に出る傾向) ・お風呂から出た後 ・夜中2時~4時 ・疲れが溜まっとき(初診時ではなく、経過で確認)
(緩解因子) ・かく ・冷えピタ
[主な問診事項] ●飲食 食欲有り・量は普通だが、たまに食欲が増すことがある。 1日3食で、和食系が多い。 魚・肉を1日おきで、野菜は毎食摂るようにしている。
●大便 1日1行 黄色味がかった茶
臭いに関して日常、意識して臭いと感じることがないが、 たまに1日出なかった日の翌日は臭いがきついと感じることがある。 (主訴発症時についてはよく覚えていない)
残便感なし
形状は普通で、排便後スッキリする
便器にはつかない
旅行・環境変化や精神的緊張で便秘する
●睡眠 睡眠時間;6時間 就寝23~24時・起床5時半
熟睡感;ある時とない時がある (痒みで起きることがあるときは、熟睡感が足りない。 熟睡できないから痒くなるという感じではない)
[症状の根本的な原因] ストレス(イライラ)によって消化器に負担があった状態(下痢・胃痛)の後に、 旅行で辛い食べ物を続けて食べた。 それによって、湿熱が体内に溜まり、じんましんが発症した。
[弁証] 脾胃湿熱(主)、肝うつ気滞化火(従)
[治療内容] 胃腸に関わる部位に存在する湿熱を除去する(主) ストレスからくる熱をさます(従)
[治療経過] 初診から3回の間で、黒い大便を排出(熱邪の排出を意味する)、 臭い・ネットリ感は分からない (湿熱が排出された時は、臭いがきつくねっとりした大便が出ます)
最初の4回(3月6日)で、痒み10→3、4 15回(4月13日)の治療で一度、じんましん収まる。
その後は体調管理のために月2回の治療。
しかし、6月初旬、介護の資格を取りに学校を通い出し、 疲労が溜まって、再びじんましん発症。
この時は、弁証の主従が肝うつ気滞化火となり、 後谿、霊台を1本、あるいは2本の治療をした。
4回の治療をして改善
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2 N.A.さん 女性 33歳 休職 大阪府東大阪市在住
[初診日] 08年7月9日
[主訴の状態] 08年5月に両方の前腕から湿疹発症。 両肘関節、両下腿が赤く蚊に刺された感じになる。 ひどくなると目や口の周囲にも出来る。 肌汁はない。
[その他の症状] じんましんと同時期に耳閉感が出てきた(左耳)。 30歳の時にギックリ腰になって以来、疲労時に腰痛になりやすい。 風邪を引いていないのに、咳が出ることがある。
[主訴発症の簡単な経緯] 08年1月、仕事の勤務形態が変わったことで、勤務先・仕事内容が変わった。 新しい環境でストレスが徐々に溜まり、 肉体負荷がかかるような作業も増えた。
同年3月、右脚の力が入らなくなった。 病院で腰椎ヘルニアの診断を受けた。
同年4月末、退職
同年5月、主訴発症
[弁証] (主)肝鬱化火 (従)脾胃湿熱
[治療内容] ストレスからくる熱をさます(主) たまに過食する傾向があり、 その際は胃腸に関わる部位に存在する湿熱を除去する(従)
[経過] 9診目まで週1回の治療するなかで、徐々に主訴緩和。 10・11診目は2週に1回となって、症状も落ち着き治療終了。 耳閉感は5診目の治療後以来、出なくなった。
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