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img36.gif泌尿器疾患

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは西洋医学の病名です。
まずは、西洋医学的な概念から説明致します。

【概念】
ネフローゼ 症候群とは多量のタンパクが尿中に失われる結果、
低タンパク血症、
が出現する疾患です。
この病気の約9割は血尿を軽度に認めるか、
あるいは血尿がみられず大量のタンパク尿を示し、

組織学的
糸球体病変が軽く腎機能の長期 予後
良好な微少変化型と呼ばれる病態です。
本症の
好発年齢は3~6歳で、男女比は約2:1です。
発症年齢は患者さんの約8割が6歳未満です。

【症状】
高度のタンパク尿・低タンパク血症を示し、浮腫をきたします。
血尿は発症初期にごく軽度みられることがあります。

浮腫はまぶた・下肢脛骨(足のすね)前面に出現することが多く、
腹水もみられます。
重症の場合は胸水
も出現してきます。

下痢、食欲低下、腹痛などの消化器症状
、腹水による腹部膨満、胸水 貯留
により呼吸困難が生じることがあります。
腎静脈血栓症
は重症のネフローゼ症候群 にしばしばみられる合併症 で、
側腹部痛、腎腫大(しゅだい)、血尿、腎機能障害を引き起こします。


漢方医学では、ネフローゼ症候群に相当する病名分類がされておりません。
従ってその症候群中にみられる各症状が、
五臓六腑中の機能亢進・低下、
気血水のエネルギーの停滞・不足

のいずれかから起きたものかを総合的に判断して治療します。

ネフローゼ症候群にみられる症状の一つである、
タンパク尿が漢方医学では“混濁尿”として、
次の様に症状分析されております。

1.下焦湿熱
2.腎陰虚
3.腎陽虚
4.脾虚気陥
5.脾腎陽虚

ここでそれぞれの説明については省略させて頂き、
具体的な症例をご紹介する中で簡単に解説させて頂きます。

【症例】
[患者]H.Y.さん 38歳 男性 休職 大阪府大阪市在住

[はじめに]
本症例は
ステロイド剤服用(来院時4錠)しながらの鍼灸治療を行いました。
ステロイド剤を服用しなくても済むまでの状態になりたい、
そして早く仕事に復帰したいとの希望があり、
その希望に添える様に治療をさせて頂きました。


[初診日]2008年1月16日

[主訴の状態]
タンパク尿の後は、身体がけだるい様な無力感を感じる。
(時に震える)

タンパク尿の時ほど、尿の泡立ちがある。
(色は白く洗濯機の中の洗剤の泡の様)

タンパク尿の際、臭いはない。

[主訴発症までの簡単な経緯]
20代は地下鉄職員だった。
勤務時間が不規則な仕事をしていて肉体疲労がかなりあった。

30代前半から介護タクシーの運転手
利用者・会社からせかされることが多く、
かなりイライラした生活をしていた。
元々お酒好きだが、イライラしている時ほどお酒の量が多かった。

36歳の時に血液検査で血糖値が高かったので、
それまで肉食中心だったが、お野菜を意識して摂るように心掛けた。
また、この頃から仕事後の夕方になると、
身体がだるくなってきていた。
お酒を飲むとホッとして解放感が出て、そのだるさが無くなっていった。

38歳(2007年)5月、夕方のだるさが抜けにくくなっていたので、
病院で検査したところ、ネフローゼ症候群と診断された。
約2ヶ月入院。

治療としてはステロイド剤の服用。

[その他の症状]
座位時間が長くなると、足の裏・甲がしびれてくる。
首・背中・肩が凝る。
お酒を飲んだ翌日はよく下痢をしていた。
たまに手足がむくむ。

[症状の根本的な原因]
仕事でのストレスが溜まる時ほど、飲酒量が増え、
徐々に湿邪(エネルギーにならない水の滞り)が身体に蓄積されていった。
そのことで水分代謝に関わる脾と腎の臓に負担に弱りが生じたために
発症した病と見立てた。

エネルギーの停滞と弱りの主従としては、
基本的に元々身体を動かすのが好きな方で、
毎日1時間の散歩をすると身体がスッキリしたり、
たまに3時間、自転車でツーリングする程なので、
基本的にエネルギー停滞の比重が大きいものと判断した。


[治療方針と経過]
気の停滞を緩和させる
脾腎の臓の弱りを立てながら、
湿邪が排出しやすいように治療をする。

毎週2回2ヶ月間治療を続ける中で、
タンパク尿が下りることが次第に少なくなってきた。

4月には仕事復帰し、それ以降は週1回の治療。
尿タンパク量の数値も落ち着いてきて、
ステロイド剤の量も徐々に減り、
8月には1錠、10月以降は半錠の服用となった。

以降、体調管理を兼ねて来院。